最後の移植を見守って

”最後の移植にしようと思います。”

冒頭に言われた一言です。

色々考えて、考えた結果…

 

 
もうすぐ生理が来るので、最後の移植周期に入られる予定です。
 
この後はさてどうするか…と悩みながらも、最後にした理由とは。
 
色々あるけど、やっぱり年齢もある。
現在47歳。
ただありがたいことに、胚盤胞にはほぼ毎回到達する。毎回採卵すれば、必ず1個は胚盤胞になってくれること。年齢に比してなかなか胚盤胞にならない方は多いもので、そういった意味ではありがたいものです。
なのでここまで治療を続けて来られた訳ですしね。
 
ここ最近、ホルモンバランスが安定しないことからホルモン補充をして移植をしてきました。移植するにあたってホルモンが安定していればよい話ではあるけど、以前は薬がなくても問題がなかったから心配になる部分はありますね。
 
本当に葛藤の連続なのですが…
ここ最近は、ルティナス等の膣座薬やデュファストンを服用してもP4が上がらない。
エストラーナテープやジュリナ等を用いても、E2が上がらないし子宮内膜も厚くならない。
 
クリニックに基準があるので、そこに到達することがここ1年なくなってきました。
 
ただまぁ、何度やっても基準に達していなければ結局移植する訳です。
なんかやり切れないけど、仕方ないと言われればそうなんです。納得いかないけど仕方ない…結局結果は陰性に終わると、そりゃそうだよなと思う訳です。足りなくても着床する場合もあるとは思いますが、この患者さまの場合はそれに当てはまりませんでした。
 
その辺りのストレスと葛藤も治療をやめたくなった一つ。
 
もう一つは私も懸念してること。
この患者さまは、リウマチを患っています。鍼は正直あまり効果は狙えないけど、お灸でずいぶん良くなられていました。妊活していなければ、生活するには問題なさそうです。
 
一方不妊治療では…
リウマチの(膠原病外来)の先生も、不妊治療の先生も疑問に思っていらっしゃるのが…、
 
妊娠するとP4が急降下する。
 
普通、妊娠するとP4(黄体ホルモン)って上がるんです。それが正常ですが、この患者さまは妊娠すると下がります。
 
大体低くてもP4値は10後半〜20超えです。患者さまは、5を切っている。
それで妊娠しているから不思議なんですけどね。
 
その後は頻回にプロゲデポ注射を打ち、飲み薬も座薬もマックスで使用。
でも留まるどころか、下がるんです。なんでP4が2で胎嚢確認できたり心拍確認できたり、成長するのかが分からない、謎でした。
 
過去4回の妊娠は8週を過ぎた辺りで流産していますが、いずれもP4は低かったです。
リウマチの具合はというと妊娠すると悪化し、手指が曲がってきたり、痛みが増強します。
 
つわりはひどいし眠れない、食べられない、P4は下がる。
リウマチ症状は悪化する。
不安でしかない妊娠状態。
 
こんなに大変な思いをして不妊治療してきたのに、妊娠すると思うのが…
 
「もう妊娠をやめたい」
 
傍から見てても辛いんです。
ご本人が1番辛いけど、為す術がない先生も、私も、何もしてあげられない。
悲しいことに流産すると、どこかホッとするような、開放されるんでしょう。妊娠したいのに結局こんな風に思ってしまうなんて、あまりにも残酷です。
 
なぜ継続できないのか、今の医学では分からないという結論。
 
きっと世の中には、分からない道を進んでいる方がたくさんいらっしゃると思います。
 
10年後は、理由が分かるのか。
私が生きている間に、分かるのか。
 
未知の世界に突っ込んでいくことが、また近づいてきました。
 
どうにか妊娠してほしいけど、
あんなに辛いのに生きていけるのかと。
 
患者さまも私も、
“妊娠したいのに、妊娠したくない”
 
この気持ちで進めていいのか毎回疑問だけど、答えがありません。
 
 
 
移植がうまくいってもいかなくて、これで最後。
どういう結果が良かったのかは分からないけど、せめて後悔がないように最後の移植を見届けたいと思います。
 
長くて暗いトンネルとはよくいったもので、本当に不妊治療は前が見えない。
 
見えない敵と戦ってる患者さま。
医学が発展して、原因が分かる未来が来ますように。

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