多嚢胞性卵巣症候群の圧力
多嚢胞性卵巣症候群…
なんと厄介なもの。。
なんでこんなことが起きるのかしらと不思議で仕方ないです。
“多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)”
お聞きになられた方もいらっしゃるかと思います。
簡単に言うと、卵がたくさん卵巣の中に存在している状態。
たくさん卵胞があることで主席卵胞が選別されるのに時間がかかります。そして、育ちづらくまた排卵もしづらい状態のこと。
一見すると、「卵たくさんあっていいな!」なんですが…。当初私もそう思っていましたし。。
卵がたくさんあると、とにかく1個が選別されるのに時間がかかります。主席卵胞として育つまで、個人差はありますが40〜50日くらいかかる方もいます。例えば90日かかるとした場合、年4回しか排卵しないことになります。そすなると、妊娠できる機会がどんど減ってしまいます。
あまりにも状況が悪い場合は主席卵胞が選別されず、従って排卵もせず、結局生理が来ないこともあります。いつ生理来るのか分からない状況の中、待つのも本当に辛いものです。
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以前診ていた患者様がそうでした。
とにかく、卵巣のエコー写真が・・・
“ぶどう”にしか見えない。。(本当はラズベリーのようでしたが…)
この方は、自力で排卵をすることがもう何年もなく生理を起こすためにピルを飲んでいらっしゃいました。
妊活をスタートし、すぐに体外受精に踏み切った段階でこちらにいらっしゃいました。
はじめて2回の採卵は、完全にお掃除状態。。
いつのものか分からない古い卵胞がたくさんあり、それを採卵し新しい卵胞が出てくるよう環境作りをした…というところです。
これまで排卵できず、少し成長した卵胞や小さい卵胞もぎっしり詰まった状態が何ヶ月も続いていたのでしょう。
(エコーの写真が何とも怖かったです。。)
3回目の採卵でなんとか主席卵胞が採れ、結果7個胚盤胞が凍結できました。
また別の方も、なんとAMHが45…なんか異常なる数値に驚きしかなかったです。。
ただ、この方の場合は注射で刺激しようが自然に待ってみようが、何一つ変わらなかったので最後は手術になりました。多孔術(ドリリング)で、卵巣の表面に複数の穴を開けるもの。このおかげで採卵できるようになり、見事に妊娠しご出産に至りました。ただこの手術は、やっても何も変わらない方もいるし、元に戻る方も多いです。あとは、卵が顕著に少なくなることで妊娠から遠のく場合もあるので、最終的な方法なのかなと思います。
多嚢胞性卵巣症候群も、軽度なものから重度なものまで状況はかなり様々なところがあります。
もちろん、タイミングや人工授精で結果に繋がる方もいます。
ただその治療方法においては、事が余計にややこしくなる場合があります。
(注射で卵胞を量産した結果、結局たくさんの卵胞が成長してしまったが為に排卵を促しても排卵しない…など。)
個々の状況にもよりますが、薬を使ってうまくいく方、薬を使わずにうまくいく方、様々です。
多嚢胞はなかなか根気がいるものです。
なかなかやって来ない排卵の為に、そしてチャンスを無駄にしないためにも、いろんな策を講じることが大事です。