染色体転座の問題か
不育症検査の流れで出てきたお話。
着床前診断を受けるにあたっても同様の話が出ましたが…。
ご夫婦の染色体検査を受けるかどうか。
36歳にして妊活を終えた患者さまがいました。
年齢的に難しくは決してなかったけど、記憶にある中で10回は妊娠していました。
10週を迎えることはなく流産になり、変わらない状況に疑問と不安が大きかったです。
タイミング法で妊娠されていたので、病院としてはまずは体外受精を勧められました。
体外受精をしなければいけない理由は、タイミング法で妊娠はするけど、要は受精卵を着床前診断したかったので体外受精しようという話になりました。
3度採卵したものの、勿論卵も精子も問題はなかったんです。
ですが、1度も受精をしませんでした。
結局卵を調べることもなく、一応ご夫婦の検査をと検討してみましたが、たくさんの話し合いを持って
カウンセリングも受けたけど、やるのは諦めました。
またタイミング法に戻して、やっぱり妊娠したけど流産。
気持ち的にも、体のことを考えてももうここがギリギリだと感じてそこで終わることになりました。
今はワンちゃんを飼っているそうで、賑やかなようです。
何も検査をしないことを選んだご夫婦でしたが、どちらかに何か問題があると分かることもお互いに嫌だったこと。お互いのせいにすることはないけど、お互いが各々責任を感じてほしくなかったからという理由から検査はされませんでした。
こちらのご夫婦の問題は本当に分かりませんでした。
他にいらっしゃった患者さまの中に、ご主人様が染色体異常の方がいらっしゃったことがありました。
ロバートソン転座と呼ばれる、転座の中ではよく聞かれるものです。
勿論妊娠は可能ですが、やはり年齢とともにどんどん妊娠率は落ち流産しやすくなっていきます。
転座であればそれはいっそう流産しやすくなるものです。
もっと早くに検査していれば…と仰っていましたが、当時44歳。
それでも採れる卵は多かったので胚盤胞を着床前検査に出すことはできましたが、なかなかOKをいただける胚に出会うことはなく治療を終了されました。
ここまでくると本当に、その人の本質的な話になってきます。
欠陥があるかのように責任を感じる方もいますし、それが元で離婚される方もいらっしゃいます。
どこまでやるのかというのも、この不妊治療の難しい問題ですが、お二人が決して不幸になるような状況は避けてほしいと思うので、そこだけは毎回お伝えした上でクリニックに相談に行っていただいています。